気のせいかもしれない…。
今朝家を出た時に感じた肌寒さ…
懐かしい空気の匂い…
毎年夏が来る前はうだる暑さを想定し憂鬱になり、しかしどこかで来るなら来いと気構えが出来ていた。挑む様な、ワクワクする様な。
ああどうせリア充は海水浴だの祭だの花火大会だのイベントに出かけ、ひと夏の恋に華を咲かせるんだろうな…なんて妄想にも事欠かなかった。
お盆開けくらいにコンビニに出現したおでんを見て、鼻で笑ったりもした。まだお前の出番ではないと。
夏を擬人化するなら…何かと騒がしくかつ馴れ馴れしく、いつも一波乱起こし、それを高飛車に笑い飛ばす女……夏子だ。
決して好きにはなれない。親友にするにはあまりに鬱陶しい。言葉遣いもキツイ時があるし、空気を読むという事を知らない。
だけど…
今朝確かに感じた。
夏子は去った。
あんなに掻き乱しておいて、振り回すだけ振り回して…しかしてその強烈な余韻だけはしっかり残していく。…少し寂しくなる。
なんだったら次に来る秋子の方が好きだし、大親友なんだけど、なんだか寂しいのだ。
なんだよあっさりどっか行きやがって。張り合いがないじゃないか。
いや…まだわからない。
去ったと思わせてひょっこり顔を出すのも、彼女がよくやるイタズラだから…。